ヒカンザクラが葉桜になり、やんばるの森がゆっくりと新緑に包まれる頃になると、肌寒かった北風も暖かい南風へと変わっていく。
鮮やかだった黄色い花の「ツワブキ」も枯れて、葉影から「野いちご」の小さな白い花が愛らしく咲き始めていた。
春分の日を過ぎると森の緑はさらに萌えはじめ、黄金色のシークァーサーも収穫が終って白い花が辺り一面に香りを放っていた。
一方、麓(ふもと)の集落のでは、淡いピンクの蕾(つぼみ)が白い花を咲かせた「ハゴロモジャスミン」の花の香りも路地を吹き抜けて運ばれていた。
この時季になると、各地で花の祭が開催され冬枯れの寂しかった森や麓の村々にも活気が蘇ってくる。
名護市東海岸(二見以北)では東村の「つつじ祭り」と連携して今年で八回目となる「フラワーフェスティバル(3月7日から3月29日)」が開催され、「フリージア」の甘い香りが一帯に漂い、オープンガーデンなども開催されるなどで人気のスポットになっている。
フェスティバルの海岸沿いに、つい見逃してしまいそうな五つの大きな岩礁「五若森(名護市)」があり、大浦湾の絶景となっている。
北風を受けていた岩肌も、すっかり、爽やかな春風に包まれていた。
Latest posts by 高嶺 晃 (see all)
- Vol.46 やんばる「もうひとつの原風景」 - 2024年11月1日
- Vol.45 安波節が生まれた風景 - 2024年9月1日
- Vol.44 木漏れ日のさす神アシャギで - 2024年7月1日