年度末に近づき、確定申告の足跡がきこえてきました。
平成31年度分(令和1年度分)の所得を確定し、令和2年3月15日までに申告および納付をしなければなりません。
この時期になると、「青色で申告をした方が良いですか?」と相談を受けることが多くなるのですが、以下で青色申告制度のポイントを見ていきます。
(1)青色申告制度とは?
一定水準の記帳に基づいて、正しい申告をする人を対象にした制度です。
所得金額の計算などで有利な取扱いが受けられます。
青色申告の記帳は、正規の簿記によることが原則です。
お金の流れを帳簿につけ(現金出納帳、売上帳、経費帳など)、これらの帳簿および書類を原則7年間保存する義務があります。
また、法定期限内に申告することも忘れてはいけません。
(2)青色申告を活用するには
新たに青色申告制度の申請をする人は、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
新規開業の場合は、業務を開始した日から2か月以内の提出が必要です。
青色申告を活用する予定でも、提出期限を過ぎてしまうと、青色申告での申告は認められません。
例えば令和2年3月20日に提出した場合、令和3年分からの適用(令和4年3月15日までの確定申告分)になるので注意が必要です。
(3)青色申告の主なメリット
① 青色申告特別控除
最高で65万円の所得控除を受けられます。不動産・事業・山林所得に該当する事業が対象です。
令和2年分以後の申告については、特別控除額の変更や電子申告での申告要件の追加など、改正点があります。
② 純損失の繰越しと繰戻し
本年度の損失を、翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できます。
開業から3年間は赤字で、その後は黒字になった場合には、大きな効果が期待できるでしょう。
また、前年度も青色申告をしている場合では、本年度の損失額を前年度の所得金額から差し引いて、前年度分の所得税の還付を受けることも可能です。
③ 少額減価償却資産の損金算入
白色申告の場合、パソコンや机などの資産的価値のあるものを一括して経費計上できる金額は10万円未満となっています。
10万円以上の資産は、固定資産として財産に計上しなければならず、減価償却をして複数年で費用計上する必要があります。
青色申告の場合、30万円未満の少額減価償却資産であれば、使用開始をしたその年に、全額を一括費用計上できます。
上記で紹介できなかった優遇措置もまだありますので(青色専従者給与など)、青色申告制度を活用することをお勧めします。
ただし、法定申告期限を過ぎて申告した場合などは、青色申告が取り消されることもありますので、期限をしっかり守ることが重要です。
2020年01月現在
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