ディズニーの魔法の成分

ハロウィーンの季節がやってきました。トリック・オア・トリートの言葉に相応しい、何かトリックの話題はないかと考えていたところ、あまりにも自然過ぎてついつい見逃してしまう、ディズニーの壮大な魔法がかかったトリックのお話に思い至りました。

東京ディズニーランドは、エントランスから入場すると必ず「ワールドバザール」というエリアを通過することになります。ここは、お土産屋さんの通りで、沢山のショップが軒を連ねています。

テーマは、ガスの街灯が電気製になり、移動手段が馬車ではなく自動車になった頃の20世紀初頭のアメリカです。実はこの街並みに、壮大なトリックが仕掛けられているのですが、ご存知でしょうか。

ずらりと並んだお土産屋さんの建物は2〜3階建てですが、この建物は上に行けば行くほど縮尺が小さくなっています。こうすることで、実際の3階建ての建物よりも小さいけれど、高さは3階建てと同じように錯覚してしまうトリック、〝遠近法〟 が使われているんです。

これは、屋根がかかっているワールドバザールを狭く感じさせないようにするためだとか、小さな子供が通りを歩いても圧迫感のない黄金比になっているとか言われています。

そして、ワールドバザールの道を真っ直ぐ見てみると、シンデレラ城が目に飛び込んでくるのですが、このメインストリートは入り口からシンデレラ城側に向かって、道幅がどんどん狭くなっていっているのです。これも〝遠近法〟。

「早くあのお城を見に行きたい!」とわくわくする気持ちをより高めるために、こうしているそう。

そして、ワールドバザールをくぐり抜けた先に見えてくる、東京ディズニーランドのシンボル、「シンデレラ城」。

このシンデレラ城は、シンボルの名に恥じないとても優雅で立派な造りになっていますが、高さがどれくらいあるかはご存知でしょうか。
ぱっと見は、100m位あるように感じるのですが、実際はその約半分の51mしかないのです。なんと、これもワールドバザールと同じ〝遠近法〟が使われているのです。

そうしなければならなかったのは、飛行機などにぶつからないよう高さ規制がされているからではありますが、実際は小さなお城だと感じさせず、あれだけの世界観にゲスト全員を引き込んでしまうところが、トリックとしての完成度の高さを物語っています。

これらをなし得たのは、ディズニーのテーマパークを創ったウォルト・ディズニーが、アニメーターであり映画監督だからこそ。
遊園地を造るのではなく、映画のセットを用意して、ゲストを物語の世界に引き込むことを一番に考えて創られたテーマパークだからこその、夢のある魔法のトリック。 ある意味、本物より私達のイメージに近いホンモノ。

あなたは気づいていましたか? それとも、気持ちよく騙されていましたか?


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川崎 真衣
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