日本でもすっかり定着したハロウィーンというイベントは、いまやクリスマスにも引けを取らない秋の一大行事にまで成長しました。
ハロウィーンでお馴染みの 「トリック・オア・トリート!」 という言葉は、 〝お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ〟という意味があり、子どもたちが仮装でオバケなどに扮して家々を練り歩き、大人からお菓子をもらう時の掛け声になっています。
そんな 〝トリック〟 とはちょっと意味が異なりますが、今回は大人なトリックのお話をご紹介します。
東京ディズニーシーにあるホテル、「ミラコスタ」 の壁面をじっくりと観察してみると、ちょっとした違和感に気づいた瞬間、思わず声を上げそうになります。
ずいぶんと立派な彫刻が施された、なんとも荘厳なホテルだ・・・と思ったら、あれ? あの彫刻、よく見たら 「絵」 になっているんじゃない⁉
そう、素敵な彫刻も、豪華な時計の文字盤も、立派な支柱も、すべてが絵で描かれているもので、横から見るとすべて真っ平らになってしまうのです。
他にも、ホテルの部屋から人が覗いていたり、洗濯物が干してあったりと、ユーモアあふれる窓も描かれています。
これは 「トロンプ・ルイユ」 という技法で、フランス語で 〝目を騙す〟 という意味があります。
ルネサンス期の絵画様式で、現代で言うならば、 〝トリックアート〟 ということになりますね。
このトリックは、実際に複雑な装飾を作ろうとすると莫大な労力やコストが必要となる上に、街中にこんな壮大な建築物があると危険も伴うため、ヨーロッパの人々の知恵として広く活用されたそうです。
もちろん、ミラコスタのテーマとなっているイタリアでも数多く使われていることから、あえてこのトリックを使った壁画が用いられているというわけです。
いにしえより受け継がれるトリックをも巧みに表現する、これもディズニーの魔法の成分。ディズニーのテーマパークとして、 「何を」「どのように」 表現しておくことが最良で最高であるか、どこまでも計算されつくしています。
芸術の秋としても是非、こんなトリックを味わってみてはいかがでしょうか。
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