
沖縄に新たなテーマパーク 「ジャングリア」 が誕生し、盛り上がりを見せていますね。
テーマパークというと何かと東京ディズニーリゾートと比較されがちですが、それだけ〝目指すべき理想像〟という認識がされているのだろうと、勝手に嬉しく思います。
その比較内容を大きくカテゴリ分けすると、「安全性や清潔感がどれだけあるか」「施設の細かい工夫と没入感がどれだけあるか」「スタッフの教育がどれだけできているか」、このあたりではないでしょうか。
ディズニーのテーマパークにおいては、どこを取っても徹底がされていることは言うまでもありません。全てをまとめて表現するのはとても難しいので、今回はこの秋で終了してしまう素晴らしいミュージックエンターテインメントショーと、その会場である劇場のお話を。
東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントにある、一際重厚で豪華な劇場、 『ブロードウェイ・ミュージックシアター』。
2006年7月から行われているショー「ビッグバンドビート」が、今年9月30日で終了となります。
途中休演期間はありましたが、本当であればディズニーシー開園5周年の記念として期間限定で上演される予定だったことを考えると、実に19年もの間、多くのゲストに愛され、感動を与えてくれたショーであったということです。
ビッグバンドビートは、スウィング・ジャズをテーマとしたミュージックショーで、プロのシンガーとジャズバンドが登場する本格的なものでした。ジャズに精通していなくても一度は耳にしたことがあるような曲が会場を包み込み、圧巻のステージを全身で浴びると「アメリカに来た!」と完全に錯覚してしまうほどのクオリティに、初めて鑑賞した際は、劇場をあとにしてからも興奮が冷めやまなかったことを今でも鮮明に覚えています。
パークチケット代はこの劇を鑑賞するだけで元が取れてしまう!と思うほどでした。
感染症対策として一時休演し、再開した際に内容が変更され、ディズニーキャラクターとダンサーを中心としたミュージックショーへと変更されましたが、いつもの可愛らしい雰囲気のディズニーの仲間たちとは違う表情を見せてくれるこのショーもまた、唯一無二の素晴らしいものでした。
ショーの内容が圧倒的であることはもちろんですが、この劇場自体にも大変細かい工夫が施されているのも、見逃せない点です。『ブロードウェイ・ミュージックシアター』は、ニューヨークに実在する最古のブロードウェイ劇場、「ニューアムステルダム劇場」をモデルにしており、改装される前のニューアムステルダム劇場の看板の雰囲気や、たくさんの白熱灯はそっくりなんです。
そして、ただ雰囲気が似ているだけではなく、とっても細かいこだわりが、『ブロードウェイ・ミュージックシアター』の表記です。 英語でシアターと書くと「THEATER」ですが、よく見てみると「THEATRE」になっています。これは、イギリスの植民地支配から抜け出そうとする頃、アメリカで独自のスペルを作る際に現在の「THEATER」になったという経緯があり、これがブロードウェイの起源である18世紀ごろであったため、伝統を重んじる劇場では現在でも「THEATRE」の表記が使われているそうです。
誰も気づかないかもしれないし、知らないかもしれない、というところにまでこだわりを貫くことが、「世界観」を本物にし、人々を夢中にさせる魔法の成分なのですね。
この劇場でどんな新しいショーの幕があがるのが、今からとても楽しみです。
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