ディズニーの魔法の成分

今年も一年、あっという間に過ぎ去っていった気がします。時の経つことの早さに驚き、身体の回復の遅さを感じると、やはりあの〝花〟のことがふと頭に浮かんでしまいます…。

そうです、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』に登場する、魔法の力を持った〝黄金の花〟のことです。

長い長い美しい黄金色の髪を持つ『塔の上のラプンツェル』の主人公、ラプンツェル。彼女の髪の毛には特別な魔法が宿っていますが、これはもともとラプンツェルの母君が病床に伏してしまった時に、太陽の雫が落ちたことでできた神秘的な〝黄金の花〟から力を授かることで回復し、その時にお腹にいた赤ちゃんにも花の力が宿ったから、というものでした。

東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントにある、一際重厚で豪華な劇場、 『ブロードウェイ・ミュージックシアター』。

誕生したラプンツェルの髪の毛は、時間を巻き戻すことで傷ついたものを治癒する不思議な力をもつことになります。それを、永遠の若さに執着するゴーテルという老婆が独占しようと、彼女を高い塔に閉じ込めたことで、彼女は外の世界へ強い憧れを持つようになり、塔の外へ出て王国へ戻ろうとする──というのが、この物語のはじまり。

ラプンツェルの可愛らしさと、冒険活劇としてのアップダウン、コミカルなキャラクター達の魅力もあって、映画は世界的に大ヒット、ディズニーのテーマパークでも、ラプンツェルの衣装を着て、長い髪を編んだ女の子たちがウキウキしながら遊んでいる様子がよくみられました。

ですが実は、2010年の公開からずっと、ディズニーのテーマパークには、ラプンツェルをテーマとしたエリアもアトラクションもなく、パレードへの登場のみとなっていたのです。

満を持して2024年6月、東京ディズニーシーに初めてラプンツェルのエリアとアトラクションが登場しました。

連日多くのゲストで賑わっていますが、ここで一番注目していただきたいのは、ラプンツェルのエリアがあるテーマポート、「ファンタジースプリングス」に入る手前にあるゲートの石像です。

石像はラプンツェルの他にも、ピーターパンやアナと雪の女王のキャラクター達が、今にも動き出しそうな造形で並んでいますが、その中にいるラプンツェルの石像に注目してみると、なんとあの〝黄金の花〟がひっそりと一輪、花を咲かせているではありませんか。しかも日中の明るい時間だと非常にわかりにくいのですが、夜になってライトアップされると、〝黄金の花〟のところだけ金色に輝くように照明が当たり、まさに神秘的な光景なのです。

美しい花の前で、〝時を戻すあの歌〟を口ずさめば、もしかしたら過去に遡ってしまうかも、と感じさせる魔法がそこにはありました。

とはいえ、限りがあるからこそ尊く美しいと言われる〝今〟というこの瞬間を大切に、残り僅かとなった今年も、最後まで楽しんでいきましょうか。


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川崎 真衣
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