
新しい生活が始まる季節、新天地に向かう人もそうでない人も、心機一転の気持ちを持つ季節ですね。 期待に胸を膨らませつつも、どこかで「うまくやっていけるだろうか?」と、見えない未来に少しだけ足元がそわそわする。
そんな時、パークの中の〝とある風景〟を思い浮かべることがあります。
ディズニー映画「ピノキオ」の物語を、トロッコに乗ってたどることのできるアトラクション『ピノキオの冒険旅行』のすぐ近くに、ピノキオが学校への一歩を踏み出すシーンを表現した像があるのをご存知でしょうか。
「ピノキオ」の物語は、もともと操り人形であったピノキオを作ったゼペットさんが、〝いつかピノキオが本当の子供になりますように〟と星に願い続け、ブルー・フェアリーによってそれが叶えられるところから始まります。
といっても、いきなり本当の子供になるわけではなく、最初は糸がなくても動ける人形になり、「勇気と優しさを持てば、いつか本当の子供になれる」と、ブルー・フェアリーから伝えられ、ピノキオは旅立ちます。
人間の子供になるための長い旅の第一歩として、彼が手にしたのは遊び道具ではなく、「勉強道具の本」と 「リンゴ」。
そのシーンを活き活きと切り取ったものが、この像です。
ピノキオの〝星に願いを〟に代表される、「信じていれば願いは叶う」というメッセージは、以降の様々な作品にも受け継がれる、ディズニーの魔法の成分の核とも言えるものになっています。
しかし、これを〝信じるだけで叶うなら苦労しないよ〟と、どこか他人任せな印象で受け取る方もいます。
ただ、これは大いなる誤解だと思うのです。
「信じていれば願いは叶う」とは、奇跡を期待して何もせずにじっと待ち続けることではなく、やるべきことや進むべき道を強くイメージできるようになる、言わば「心のピントを合わせる」ようなものだと思うのです。
ピノキオが〝本当の子供になるんだ〟という道を強く信じることで、様々な誘惑に負けそうになりながらも、勇気を出して誰かのために行動できたように。
「信じる力」 とは、座して魔法を呼び寄せる未知なるパワーのことではなく、自分を正しい行動へと突き動かすエネルギーである、ということをこの像を目にするたびに思い起こします。
新しい一歩を踏み出す時は、どうしても緊張がつきものですが、このピノキオの像を見ると、必要なことは特別な才能や完璧な準備などではなく、まずは「信じてみる」だけでいいのだ、と。そう思うだけで、そわそわした不安な気持ちも、一歩を踏み出す心地よい高鳴りに変わっていく気がしてきます。
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