知ってもらいたい税のお話し

刻々と変化する社会に対応するため、毎年行われる税制改正。今回は、閣議決定された令和5年度税制改正について、いくつかポイントを紹介していきます。

(1)相続時精算課税制度に基礎控除(110万円)を創設

令和6年1月1日以後に相続時精算課税制度を利用して贈与を行った場合、上記制度利用後は、贈与額が毎年 110 万円(基礎控除)以下であれば、贈与税の申告が不要となります。
また、上記の場合、相続税の課税価格に加算する財産は、贈与額から110万円を控除した残額になります。

(2)生前贈与加算期間を3年 → 7年に延長

令和6年1月1日以後の贈与で取得する財産に係る相続税に関して、相続財産に加算する生前贈与の期間が、従来の死亡前3年から死亡前7年に延長されました。この延長4年間に受けた贈与額のうち、相続財産総額から100万円を控除できる措置も加わっています。
ここまでは「相続・贈与の一体化」課税に関する見直しで、相談を受けることも多く、注目度の高さが伺えます。このほか、被災時への対応として、相続時精算課税で取得した土地・建物が被災(令和6年1月1日以後の災害)した場合、相続時にその課税価格を再計算(贈与時の時価から被害に相当する額を控除)するよう見直されています。
続いて、連日報道も賑わった「貯蓄から投資へ」向かう改正と、いよいよ10月から始まるインボイス制度にも触れていきます。

(3)NISA(少額投資非課税)制度の抜本的拡充

時限的だったNISA制度が恒久的な措置とされ、非課税保有期間も無期限へと改正されました。具体的には以下の通りで、令和6年1月からの適用です。

(4)インボイスの円滑な導入に向けて

令和5年10月から始まるインボイス制度について、新たな納税負担を軽減するための緩和措置が設けられました。まず、免税事業者が新たにインボイス発行事業者(課税事業者)になることを選択した場合、売上税額の2割を納税額とする措置です(令和5年10月から3年間)。
次に、課税売上高1億円以下の中小事業者等は、少額(1万円未満)の支払の際、インボイスの保存無しで仕入税額控除を可能とする措置が加わりました(令和5年10月から6年間)。

以上、概要を紹介しましたが、「各制度について詳しく知りたい!」という方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

2023年3月現在


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松川 吉雄