知ってもらいたい税のお話し

今年も「年末調整」の時期ですね。
保険料控除証明書が届いたり、扶養控除等申告書の提出を勤務先から求められる人も多いでしょう。
これらは年末調整に不可欠な書類です。今回は、年末調整の概要と、今年の注意点に触れていきます。

(1)年末調整って?

年末調整は、1年間の給与に対する源泉徴収税額の過不足の精算です。
個人・法人にかかわらず、給与支払者は、所定の源泉徴収税額表によって所得税及び復興特別所得税の源泉徴収をすることになっています。
その源泉徴収税額の1年間の合計額は、給与受給者の年間の給与総額に対して納めるべき税額(年税額)と一致しないことが通常です。
この不一致については、源泉徴収税額表はあくまで概算で設計されており、個別の現状を加味しているわけではないからです。
よって、どこかのタイミングで概算と現状のズレを調整する必要があります。この調整のタイミングこそ、その年の所得が確定する時期である年末であり、年末にズレを調整するため、「年末調整」といわれます。

(2)令和5年の年末調整で気をつけることは?

前年と比べて大きく変わった点はありません。
ただし、扶養控除等申告書の様式変更で、住民税の欄に「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が追加されました。退職金を貰った配偶者等がいる際、その合計所得が退職所得を含めずに48万円以下なら、住民税の配偶者控除等の恩恵が受けられます。
これらの控除を見逃すケースが発生しており、それを防ぐ為の様式変更とされています。

その他、「非居住扶養親族の適用要件」や「住宅ローン控除要件」の変更も挙げられますので、該当する従業員がいる場合には要件を再チェックしてください。

また、国税庁は、年末調整手続きの電子化(マイナポータルへの登録)も推奨しており、今後も省力化や、利便性の向上に期待が寄せられています。
令和6年以降の手続きでも、見逃せない改正がある為、最新情報に触れるようにしましょう。

2023年11月現在


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松川 吉雄