知ってもらいたい税のお話し

令和5年分の確定申告の時期がやってきました。
今回の申告の際、「申告書等用紙が届いていない!」と驚いた方もいるかもしれませんね。
これは行政のミス(送り忘れた)ではなく、きちんと理由があります。
ここからは、従来との主な変更点に触れながら、今年の確定申告について見ていきましょう。

(1)令和5年分の確定申告書用紙が届かないのはどうして?

インターネット上で申告するシステム「 e-Tax 」を利用した方には、翌年以降、用紙が郵送されません。
e-Tax利用率は年々上昇しているとされ、用紙の送付は減りつつあるとみて良いでしょう。
令和4年分の申告者数約2,300万人のうち、およそ半数がe-Taxを利用しています。特にスマホを利用した申告が顕著に増えています。
もちろん、税務署・市町村の税務課への問い合わせや、国税庁ホームページからダウンロードする等、必要な場合は用紙でも入手可能です。

(2)納付書も届かない?

さらに、令和6年5月以降、納付書の事前送付を取りやめることも発表されました。
キャッシュレス納付の拡大を目指す観点から、e-Tax利用者や、納付書を使用せずに、インターネットバンキングやクレジットカード、スマホアプリ等で納付している方を対象に、郵送しないとされています(源泉所得税に関しては引き続き郵送予定)。

(3)納税地の異動届の提出が原則不要に

納税地を変更した場合に、従来は届出書が必要でしたが、令和5年以降は、手続の簡素化として、申告書に変更後の納税地を記載することで足りることとされました。
ただし、連絡先変更を伝える必要がある場合等、変更の申出書を提出することもできます。

(4)扶養控除対象者の変更

従来は、16歳以上の非居住者である扶養親族は扶養控除の対象でしたが、一定の要件を満たさない非居住者である30歳以上70歳未満の方は、控除対象から外れることとなりました。
ただし、次のいずれかに該 当すれば控除対象です(ビザ書類や送金関係書類等の提示が必要)。
①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった方
②障がい者
③生活費や教育費で年38万円以上の送金を受けている方
今年の申告期限は3月15日(金)です。
ここでは触れていない変更点にも注意しつつ(必要に応じ専門家等の助言を受けて)、1年の振返りも兼ねて、申告手続きを進めていきましょう。

2024年3月現在


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松川 吉雄