知ってもらいたい税のお話し

年末調整は、1年間の給与に対する源泉徴収税額の過不足の精算です。

個人・法人にかかわらず、給与支払者は、所定の源泉徴収税額表によって所得税及び復興特別所得税の源泉徴収をすることになっています。
その源泉徴収税額の1年間の合計額は、給与受給者の年間の給与総額について納めなければならない税額(年税額)と一致しないことが通常です。

なぜ一致しないかというと、源泉徴収税額表は、あくまで概算で設計されているからです。
ある程度の精度はあるものの、各々の現状を加味しているわけではありません。
よって、どこかのタイミングで概算と現状のズレを調整する必要があります。

この調整のタイミングが、その年の所得が確定する時期である年末であり、年末にズレを調整するため、「年末調整」といわれます。

各々の現状の例として、扶養親族、配偶者の年間合計所得、生命・損害保険料、住宅ローンなどの発生・増減があります。
給与受給者は、給与支払者にこれらの現状を確認してもらうため、以下の書類を提出する必要があります。

・ 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・ 給与所得者の配偶者控除等申告書
・ 給与所得者の保険料控除申告書
・ 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書

上記申告書を提出し、控除が可能な場合、天引きされた源泉徴収税額が戻ってくることもあります。

例えば、住宅ローンを支払っている場合、さまざまな要件はありますが、40万円の控除が毎年10年間続くこともあります。
40万円もの控除があれば、還付額もそれなりの金額になるでしょう。

また、平成28年1月1日以後に提出される扶養控除等(異動)申告書から、扶養給与所得者本人及び控除対象扶養親族等のマイナンバーを記載することになっているので、給与支払者は、給与所得者本人のマイナンバーの本人確認を行う必要があります。

年末調整は、給与支払者が、給与受給者に代わって確定申告をしているということになります。
もちろん、年末調整だけでは足りず、確定申告が必要な場合もありますが、給与受給者にとっては非常に楽な制度と言えるでしょう。

また、税務署にとっても、給与支払者がまとめて申告をするので、処理手続の簡素化になり、さらに申告漏れが少なくなるので税収が確保しやすいというメリットがあります。

2019年1月現在


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松川 吉雄