消費税の引き上げ実施が、本年10月1日と目前になってきました。それと同時に軽減税率制度が実施されます。
本誌2019年5月-6月号でも、軽減税率制度の概要、軽減税率適用外となる紛らわしい品目等を取り上げましたが、今回は軽減税率の対象となりうる「一体資産」についてご紹介します。
お菓子と玩具、紅茶とティーカップなど、食品とそれ以外の商品がセットで販売されている場合のように、以下の①と②のいずれにも該当するものを一体資産といいます。
① 食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもの
② 一の資産の価格のみが提示されているもの
一体資産の譲渡は、原則として軽減税率の対象ではありませんが、次の要件をいずれも満たす場合は、食品の譲渡として、その全体が軽減税率の対象(8%)となります。
① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価格)が1万円以下であること
② 一体資産の価格のうち当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価格の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること
ここでいう合理的な方法とは、一体資産の譲渡に係る原価(または売価)のうち、合理的に計算した食品の原価(または売価)に占める割合により計算することです。
原価になんら関係のない、例えば、重量・表面積・容積等といった基準のみにより計算する方法は認められません。
また、「食品の占める割合が3分の2以上」という要件が定められているのは、一体資産の全体を食品とみなして扱う制度だからです。
食品以外のものが主となるのであれば、食品として販売する制度として適さないことになります。
もともとセット販売されているものでも、その中身を自由に選択できる場合には「一括譲渡」という扱いになり、一体資産としては認められません。
例えば、飲食店などでみられる、食品と玩具がセットになった子供用メニューの場合は注意が必要です。
テイクアウトでの食品購入は軽減税率の対象ですが、単品で売っているものを自由に組み合わせ、さらに玩具も好きなように選べるメニューの場合は一体資産とはならず、玩具分には軽減税率が適用されません。
ただし、あらかじめセットのメニューや玩具の内容が決められており、それが複数のパターン用意されている場合は、一体資産として扱われます。
消費者は、ただちに「食品とのセット販売(一体資産)」=「軽減税率対象品目」と勘違いしないように注意し、また、販売者は、消費者を困惑させないわかりやすい表示・説明方法の提示が必要になってくるでしょう。
2019年9月現在
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