知ってもらいたい税のお話し

新型コロナウイルスの影響により売上が減少した事業者に対して、「持続化給付金(法人に最大200万円、個人事業者に最大100万円支給)」、「家賃支援給付金(法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円支給)」、「営業補償短縮協力金」など、様々な支援策がなされています。ただし、上記給付金等を申請しても、必要書類の添付不足や、書類の不備(記入ミス等)によって、受給が遅れるケースが多いようです。

(1)申請時の注意点
 例えば、2020年1~3月に開業した事業者の場合、税理士による署名または記名押印を得た「収入等申立書」が必要です。家賃支援給付金では、賃貸借契約書の更新がなされておらず該当する年度の証明ができなかったり、減少した売上の対象月を2020年5月以降と知らずに申請してしまう事例もあるそうです(持続化給付金は2020年1~4月分も対象月にすることができます)。

(2)受給後の注意点
給付金等の受給後も注意が必要です。「持続化」ですので、当然事業を継続することが前提であり、また、給付金等は収入に該当するので、受給した年度にきちんと計上し確定申告が必要です。給付金等によって利益が発生した場合、税金が発生します。

(3)その他の補助金
 他にも、販路開拓の取組を支援する「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)」という補助金もあります。小規模事業者とは、常時使用する従業員の数が20人以下(商業・サービス業(宿泊業・娯  楽業を除く)に属する事業を主たる事業として営む者については5人以下)の事業者のことをさします。
新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるため、販路開拓等の具体的な対策に取り組む費用の三分の二または四分の三が補助されます(補助上限は100万円)。さらに、業種ごとのガイドラインに基づいた感染拡大防止の取組(事業再開枠)を行う場合は、上限50万円まで上乗せできます。加えて、クラスター対策が特に必要と考えられる業種(バー・カラオケ・ライブハウス等)については、さらに上限50万円の上乗せが可能です。

(4)給付金の財源は国民の税金
 資金繰りに窮する事業者を早急に支援するため、必要書類等が揃ってさえいれば、給付金等の受給自体は可能となります。メディアでも取り上げられているように、膨大な数の申請をスピーディーにこさないといけないという弱みに付け込み、必要書類等を無理やり揃えて、不正受給をする事業者もいるようです。「事業をしていなくとも給付金を受け取れる」と勧誘する者もおり、架空の売上や申告書を成し、あたかも事業をしているかのように申請する悪質な事例もあります。

安易な考えで不正受給をしてしまったことにより、取り返しがつかないことになりかねません。給付金等の財源は、国民の税金により賄われていることをしっかりと認識する必要があるでしょう。

2020年11月現在


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松川 吉雄