知ってもらいたい税のお話し

昨年12月、2021年度税制改正大綱が閣議決定されました。

変動する景気や財政、雇用情勢などに対応するため、政府は毎年税制改正を行います。改正に向け、課税対象や税率変更などをまとめた方針が税制改正大綱で、時々の重要課題を捉え新たな税の在り方を示したり、所得・消費・相続など税制に関する内容を定めています。

今回の大綱では、「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」に向け、「打撃を受けた個人や事業者の負担を軽減する措置」に加え、「脱炭素やデジタルトランスフォーメーション(DX)などへの投資・研究開発を促す措置」が盛り込まれました。主なポイントを紹介します。

①押印の省略化
テレワークの普及で話題になった「押印」の是非は、税制においても見直しが図られ、21年4月1日以降、国税・地方税の届出書・申請書などへの押印が不要となります。他方、遺産分割協議書などへの押印は存続のため、注意が必要です。このほか、領収書などの税務関連書類を電子スキャンして保存する手続き・要件が大幅に緩和されます。
必要なIT設備が整備できていない中小事業者なども取り組みやすくなり、経理・税務のデジタル化に向け、一層裾野の広がりに期待が寄せられます。

②教育資金一括贈与制度の延長
一方で制度運用は厳格化され、贈与者の死亡時に残っている贈与資金は一部の例外を除き、すべて相続税の課税対象となります。贈与を受けた人が孫・ひ孫の場合、税額2割加算も適用されます。

③脱炭素化への促進
法人課税をみると、クラウド化を推進するなどデジタル環境を整備する企業への税額控除(または特別償却)を可能にする「DX投資促進税制」が創設されます。
脱炭素に向けた先進的な投資への優遇のほか、生産性向上を狙い統合や再編に踏み切る中小企業を税優遇する制度も新たに加わります。

④住宅ローン控除減税の見直し
個人向けでは、「住宅ローン控除」の特例が2年延長され、22年末までの入居者が対象となりました。床面積の要件は「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和される一方で、40㎡以上50㎡未満」の物件については所得制限が1000万円以下と要件が強化されます。

2021年03月現在


【下記リンクへ戻る】

松川 吉雄