ペーペーレス化が叫ばれて久しい昨今、サラリーマンにとってはお馴染みの「年末調整」も、手続きの電子化が進んでいます。ここでは、その概要と従業員・企業等双方の利点について解説していきます。
まず、年末調整手続きの概要として、以下の流れをご確認ください。
①従業員が必要書類(控除証明書等)をデータで取得
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②取得データを年調ソフト(国税庁より無償提供)に取り込み、申告書等(自動計算)をデータで作成し、勤務先へ提出
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③勤務先にて、提出データをもとに年税額を算出(自動計算)し、データを保存
次に、これまでの手書きによる手続きとの違いを比較していきます。
続いて、電子化の利点をまとめます。
≪従業員≫
手書きによる年末調整申告書の記入や控除額の計算などを省略でき、必要書類の作成を簡素化できます。また、ハガキなどの書面で提供された控除証明書等を紛失した場合は、再発行を依頼する必要がありましたが、その手間も省くことができます。また、「マイナポータル連携」を利用すると、複数の控除証明書等を一度の処理で取得できるなど、利便性がより高まります。
≪企業等≫
データ利用により、控除額の検算が不要となるほか、添付書類の確認に要する事務が削減されます。従業員がソフトを利用して控除申告書を作成するため、記載ミス等が減少し、従業員への問合せ事務も減少することが期待されます。さらに、書類の保存義務は7年間ですが、紙での保存に比べ省スペース化が実現できます。
手続きの簡素化が進み、メリットを享受することができれば、従業員、企業双方にとって有意義な時間の確保につながります。一度検討してみてはいかがでしょうか。
【年末調整関係書類の電子データによる提供の対象となる書類】
①年末調整申告書関係
扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書、住宅ローン控除申告書、基礎控除申告書、所得金額調整控除申告書
②控除証明書等関係
保険料控除証明書(生命保険料(新・旧)、個人年金保険料(新・旧)、介護医療保険料及び地震保険料に限る)、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書、年末残高等証明書
【電子データ提供不可書類】
国外居住親族に係る親族関係書類、送金関係書類、勤労学生に該当する旨の証明書など
2021年11月現在
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