令和5年10月1日より始まる適格請求書等保存方式(インボイス制度)について、今回は「免税事業者」に係る影響をみていきましょう。
●消費税の制度だから「関係ない」は大間違い?
まず、課税事業者にとって制度開始に伴う最も大きな影響は、適格請求書(インボイス)を発行できない事業者からの仕入は、仕入税額控除ができないことです。
免税事業者のままではインボイスを発行できず、課税事業者から取引を敬遠される恐れが出てきます。
免税事業者との取引(インボイスなし)では仕入税額控除ができないというデメリットが発生するからです。取引継続でも、値引き交渉を迫られる可能性も否定できません。
●課税事業者になる?ならない?
判断の鍵は「取引の相手、中心的なお客様は誰か?」です。取引先・お客様が課税事業者ではなく、インボイスを必要としない一般消費者や個人の場合、免税事業者のままでも良いと考えられます。
例外として、接待利用の多い飲食店や、業務移動に利用されるタクシーなど、会社の経費精算目的でインボイス発行を求められることも想像できます。顧客離れを防ぐために、個人相手の商売でもインボイス登録を行って課税事業者へと変更することも視野に入れる必要があります。
●6年間の経過措置も考慮
制度が始まり、一斉に仕入税額控除不可となるわけではありません。経過措置として令和11年9月末までの6年間、一定割合で仕入税額控除が認められます。
判断に迷う場合は、制度開始後、インボイスを求められる頻度や売上への影響などを考慮しながら、じっくり検討するのも手です。下図をご覧ください。
●登録申請&届出が必要
取引状況を吟味した結果、必要であれば、インボイス登録と併せて税務署への届出を行いましょう。
課税事業者となれば、当然消費税の納税義務が生じ、経営悪化や会計処理の煩雑化などが考えられます。納税に耐えうる事業基盤の整備や会計処理への対応が必要でしょう。
現在は免税事業者であっても、インボイス制度が自社に与える影響を考慮しておく必要があります。
登録申請は令和3年10月1日から始まっており、e-Taxによる申請も可能です。
申請期限の令和5年3月31日が迫ってから慌てずに済むよう、制度理解と併せて、自社の経営計画や取引先を精査するなど、状況の変化にあらかじめ備えておきましょう。
2022年3月現在
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