#知ってもらいたい税のお話し

新年度が始まりました。心地よい春の風に誘われて、眠気と闘いながら過ごす方も少なくないかもしれませんね。そんな中、令和3年4月1日から改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会を確保する措置を講じることが各企業の努力義務となりました。今後もこの流れは続くとみられ、動向から目が離せません。ここでは、税制面での高齢者への配慮について解説していきます。

(1)高齢者を扶養している方に対する特例

配偶者控除や扶養控除の対象となる親族が70歳以上の場合、通常より多くの控除額が所得金額から差  し引かれます。配偶者控除では、所得金額が900万円以下であれば通常の控除額は38万円ですが、配偶者  が70歳以上だと通常より多い48万円が所得金額から差し引かれます。扶養控除では、通常の控除額である   38万円が48万円まで拡大されます。さらに、納税者またはその配偶者が、父母や祖父母と同居しているときは、さらに10万円を加算した58万円が所得金額から差し引かれます。

(2)高齢者本人に対する特例

65歳以上の方は、「公的年金等の最低控除額が多く」なるよう設定されています。公的年金等とは、国民年金や厚生年金など各法令に基づく年金のほか、確定給付企業年金契約に基づく年金です。公的年金等以外では、生命保険契約に基づく年金や互助年金などがあります。
通常、年金収入は雑所得として扱います。雑所得は収入額から必要経費を差し引いて計算するのが原則ですが、公的年金等を受け取った場合は、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算します。

例えば、65歳未満の方だと、公的年金等の収入が60万円超~130万円未満の場合の控除額は60万円です。65歳以上の方は、同収入が110万円超~330万円未満の場合の控除額は110万円です。このように控除額が多くなるように設定されています。

(3)確定申告不要制度

年⾦受給者の申告⼿続きの負担を減らすため、公的年⾦等に係る「確定申告不要制度」が設けられています。以下2つの要件に当てはまる場合には、所得税及び復興特別所得税の確定申告の必要がありません。

①公的年⾦等の収⼊⾦額の合計額が400万円以下で、かつ、その公的年⾦等の全部が源泉徴収の対象となる

②公的年⾦等に係る雑所得以外の所得⾦額が20万円以下である

ただし、申告が不要な場合でも、還付を受けるためには確定申告の必要があることに加え、住民税の申告が必要な場合もあるため要注意です。「人生100年時代」到来の中、働き方の多様化などを踏まえ、税優遇に差が生じることのない仕組みは不可欠です。高齢者を巡る諸制度に対し、活発な議論が進むよう期待したいです。

2021年05月現在

松川 吉雄