そぼふる雨のつづく「やんばる」に突然晴れ間があらわれて、心地よい若夏の風が吹く束の間の時季がある。
その風を受けて「ワルミ海峡」近くの野辺では、色鮮やかな黄色い月桃(げっとう)の花に玉露が残って可愛く咲いていた
「ワルミ」とは、羽地内海と東シナ海をつなぐ細長い「割れ目」から付けられた呼称である。そこは、3年前(2021年)海底火山の噴火による軽石で、灰色に埋め尽くされた光景が悲惨だった。
が、すっかり除去され美しい景観がよみがえり、海峡に架かる「ワルミ大橋(橋長:315m)」にも若夏の爽やか風が吹き抜けていた。
そして、その周辺には歴史と文化を彷彿(ほうふつ)させる名所として、暴風雨で「運を天に任せて」流れ着いたという源為朝伝説から名付けられた「運天港」や、昔ながらの塩づくり(入浜式)がある。
「運天港」からは、「伊平屋島と伊是名島」へ定期的に出るフェリーが細長い海峡の水面(みなも)をゆったりと移動していた。
そんな穏やかな風景をバックにアジサイも見られたが、心なしか梅雨の終わりを予知しているかのような花の姿が印象的だった。
おぼつかない空模様が落ち着くと、まぶしい夏がやってくる。
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