夏の沖縄の海辺は、透きとおるような青い海と白い砂浜のコントラストによって鮮明な風景が印象的だ。
そして、海辺沿いに防風林を兼ねた樹林が水辺のやさしい風景をつくり出している。
やんばるの東海岸沿いにある名護市汀間(てぃま)区では屋敷が福木(フクギ)に囲まれ、海岸沿いや「フクギ群落の広場」に繋がっている。
木漏(こもれ)日の射す広場では、作業着の人がお弁当を食べながら夏の太陽を避けてくつろいでいた。
その広場には歌碑が建立されている。
それは、琉球王府時代に首里の役人と村娘との恋物語が唄い継がれ、後に振り付けがなされて沖縄の代表的な唄と踊りの演目「汀間当(ティマートゥ)」となり、その発祥の地としての歌詞が石碑に刻まれている。
そこの海岸一帯の砂浜には、砂地をはうようにして群生している「グンパイヒルガオ(沖縄地方ではハマカンダーと呼ばれている)」が一面に広がって咲いていた。
花は薄い赤紫色で葉が軍配のような形をしていることから名付けられた花である。
フクギ並木を抜けるさわやか海風や花々、今も語り継がれる恋唄物語り、夏の海辺には過去の出来事の風景にも出会うことができる。
Latest posts by 高嶺 晃 (see all)
- Vol.47 季節の変わり目の花々 - 2025年1月1日
- Vol.46 やんばる「もうひとつの原風景」 - 2024年11月1日
- Vol.45 安波節が生まれた風景 - 2024年9月1日