やんばるスケッチ

落ち着かない空模様がつづき、湿気を含んだ風が吹くと、やんばるの森には、甘い香りを放つイジュの花が咲き始める。

そして、雨が降り始めて本格的な梅雨入りとなる。

国道から、わかりづらい所にある安波集落(世帯数84、人口154名)」は、激しい雨に呑まれて見失いそうだった。

そこは、川幅の広い安波川から、急な山の斜面地に茅葺屋根の民家が立ち並んだ風情のある集落だった。が、1998年を最後に茅葺屋根は皆無となったとの記録がある。

しかし、山石を使用した屋敷囲や石段等は昔のままである。

風水(ふうすい)に「背山面水(山を背にして川などの水を手前にする)」の考え方がある。安波集落は過酷な環境の中で、自然と暮らす住処(すみか)の風水思想にピッタリだ。

五月雨が降る時期、集落の外れにある落差の小さな滝(タキガ―)の水は、勢を増まして安波川の流れに合流していた。

河口付近の夜に開花し翌朝に落花するサガリバナが、雨に濡れて微かな香りを放つ頃、まぶしい木漏れ日が射し始めて、梅雨明けとなる。そして、また暑い夏がやって来る・・・。


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高嶺 晃
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