
【写真】
宮古島組踊会の公演では、「組踊解説」を毎回行っている。
来場者が実際に舞台へ上がり組踊の所作などを体験している様子。

【↑新作組踊「西里兄弟」より】
(左から下地心一郎さん・川満香多さん・砂川博仁さん)
宮古島を舞台に、宮古島市出身の舞踊家・下地心一郎作の新作組踊「西里兄弟」にて演出・指導ほか盗賊の頭を演じる川満さん。市出身者や宮古島にルーツを持つメンバーが多く在籍している。
「1回見ただけでは、組踊の良さはわかりません。ぜひ回数を重ねて見てほしい」
そう語るのは、琉球舞踊穂花会(ほばなかい)師範であり、宮古島組踊会会長を務める川満香多(こうた)氏。現在、故郷の宮古島で組踊を根付かせようと新たな挑戦を続けている。
組踊は琉球王国時代に創始された歌舞劇。「唱え・音楽・踊り」によって構成され、ユネスコ世界無形文化遺産にも登録されている沖縄が世界に誇る芸能の一つだ。
「気づけば稽古場にいた」と振り返る川満氏。幼い頃、忙しい親に代わって預けられていたのが、叔母であり師匠でもある亀浜律子先生の道場だった。自然と始まった琉球舞踊の道は、気づけば40年近く続いていた。
当時の宮古島で男の子が舞踊を習うのは珍しく、中学1年生の頃に「このハワイ公演を最後に辞める」と周囲に宣言していた。しかし、公演の最後に待っていたのは観客によるスタンディングオベーションだった。その瞬間、「自分がやっている琉球舞踊というのは、これほどまでに人を喜ばせ、楽しませることができるのか」と芸の道を歩み続ける覚悟が芽生えた。
初めて組踊を見たときは言葉も内容も理解できず、「正直、面白さがわからなかった」という。南風原高校への進学を機に、その物語性や奥深さに魅了された。その後、沖縄県立芸術大学、そして国立劇場おきなわ第一期組踊研修を修了し、さらに芸を究めていく。大柄な体格を活かし、力強い役どころを多く務めてきた。
師匠の「手足で踊るのではなく、身体の芯から踊る」という言葉は、今も芸の根幹にある。自分自身を知ることや自らの肉体・声の「個体差」と徹底的に向き合う。舞踊では身体の隅々まで神経を巡らせ、組踊ではそこに「唱え(となえ)」と呼ばれる台詞が加わる。
「正解がなく、終わりがない。それがこの道の最大の魅力」その言葉通り、川満氏は舞台へ上がる瞬間にも心掛けていることがある。
所作台を使用する公演では、袴を履く作法(左足から履き、右足から履くことは凶兆とされる)に倣って、左足から舞台へ上がる。こうした何気ない所作にも、芸の心が宿る。
また、2024年には『宮古島組踊会』を立ち上げた。「組踊が根付かなかった島」と言われる故郷で、「一人でも多くの人に組踊に触れてほしい」という想いから宮古島市で毎年公演を重ねている。組踊はどこか敷居が高く、お堅いイメージを持たれがちだが、公演では宮古島を舞台にした新作を企画し、宮古語(みゃーくふつ)を取り入れ、地元の子どもたちを演出に巻き込むなど地域に根差した挑戦も続けている。
沖縄で広く使われる「いちゃりばちょーでー(一度会えばみな兄弟)」という言葉は、組踊の演目『大川敵討』での台詞で登場し、組踊の台詞から日常へ溶け込んだ。この言葉のように、いつの日か、宮古島にも組踊が自然に息づく日が来るのかもしれない。その未来へ向け、川満氏の挑戦は続く。

【公演情報】
第3回宮古島組踊会 「手水の縁」
日 付:令和8年9月5日(土)
時 間:開幕13:00(開場12:30)
場 所:マティダ市民劇場(沖縄県宮古島市平良字下里108-12)
入場料:一般 3,000円/高校生以下 2,000円 ※当日各500円増
【公演お問い合せ】
電話: 090-1179-8961(カワミツ)
公式SNS:https://www.instagram.com/
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