えにし

【写真】
鳩間節を踊る友寄氏


「正しく受け継ぎながら、楽しく伝えていきたい。」そう語るのは、琉球舞踊春の会 師範 友寄由奈(ともよせ ゆうな)氏である。

物心ついた頃から、琉球芸能は暮らしの一部だった。母は琉球舞踊家、祖父は宜野湾市無形民俗文化財「我如古スンサーミー」の地謡を務めていた。そんな環境の中で育ち、気づけば母の後ろで踊っていた。9歳で琉球舞踊を習い始めて以来、仕事との両立や結婚・出産など人生の節目を迎えながらも、一度も辞めたいと思ったことはなかったという。

師匠から繰り返し教えられてきたのは、「型を変えてはいけない」ということ。先人たちが積み重ねてきた伝統を正しく受け継ぐことが何より大切だという教えは、今も友寄氏の舞踊人生の軸になっている。また、琉球舞踊への向き合い方は年月とともに変化してきた。「型を覚える」だけではなく、歌詞の意味や舞台となった場所を実際に訪れ、登場人物の心情を想像しながら踊ることを大切にしている。

友寄氏はこれまで国内外のさまざまな場所で舞踊を披露してきた。中でも印象深いのが海外公演だ。言葉が通じなくても、舞台を通して観客と心が通い合う瞬間を何度も経験してきた。そのたびに、沖縄の芸能は世界に誇れる文化だと実感した。

今ではSNSや動画配信などを通じて、劇場に足を運ぶことが難しいお年寄りや県外・海外でも気軽に芸能に触れられるようになった。テクノロジーの進化は、伝統芸能を届ける新たな可能性を広げた。これは現代ならではの大きな強みでもある。しかし、若い世代にとっては伝統芸能やウチナーグチに触れる機会は確実に少なくなっている。

現在、デイサービスに勤務する友寄氏は、利用者から方言を教わる機会も多い。イントネーションや息づかいは実際に耳で聞かなければ分からない。人から人へ受け継がれる学びだ。

だからこそ友寄氏は、文化に自然と触れられる環境づくりを大切にしている。自身が指導する道場や地域の公民館での子どもたちとのお稽古では、「ゆたしくうにげーさびら(よろしくお願いします)」で始まり、終わりに「にふぇーでーびたん(ありがとうございました)」とウチナーグチで必ず挨拶を行う。

文化は自然には残らない。だからこそ、特別な場所だけで守るものではなく、日常の中にあってほしいと願う。幼いころから、舞踊や三線、空手、そしてウチナーグチに自然と触れられる環境づくりが文化をもっと身近に感じさせるきっかけになると友寄氏は信じている。

母の背中を追いかけ、伝統という重みを受け継ぎながら友寄氏が目指すのは、次の世代がもっと気軽に、そして安心して楽しく踊れる環境をつくること。文化は誰か一人が守るものではない。先達の教えを胸に、友寄氏は今日も琉球舞踊と向き合う。その日々の小さな積み重ねが、文化を未来へとつないでいく。

【公演情報】
琉球舞踊春の会 友寄春美芸歴55周年記念公演
『 蕾 春の花 うどぅい愛しゃ 』
日 付:2026年11月29日(日)
時 間: 開演17:00(開場16:30)
会 場: 宜野湾市民会館 大ホール(宜野湾市野高1-1-2)
入場料: 前売り券 2,500円(当日券3,000円)

【公演お問い合せ】

友寄春美琉舞練場 宜野湾市志真志4-26-5
電話: 090-1940-0233


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