南風が北風に変わる頃に吹く風のことを、沖縄では新北風(ミーニシ)と呼ばれ夏の終わりを告げる季節風である。
今年は春先から新型コロナ騒ぎで、あっと言う間に夏も過ぎて秋を迎えることとなった。そのため、心なしかやんばるの夏の海は、サザナミが浜辺に打ち寄せられる寂しげな風景だった。
そんな海辺から国道沿いに、山で隠れるように盆地状の地形の喜如嘉(大宜味村)集落は芭蕉布の里としても知られている。
チョロチョロと音を立てて流れる小川を辿っていくと、次第に滝の音に変わった。
山の上から七つの水の流れが滝になっていることから「七滝」と名付けられ、古くから産湯(うぶゆ)、お正月の若水、飲み水や農業用水などとして利用されていた。
滝のそばにある拝所は、村人達にとって心の拠り所とし重要な場所になっている。
木漏れ日が差す岩山を流がれる滝の水が、透明な川面に映し出された光景は神秘的であった。そこから滝の水は水田に流れ、葉の部分が生け花に用いられる「オクラレルカ」の栽培に役立っている。
オクラレルカの花は、梅雨の時期に咲き水田は人気スポットになる。
今は、秋風にゆれる「ベニツツバナ」が真っ赤な花を咲かせていた。
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