
トリック・オア・トリートの季節です。この時期になると、街中にもオレンジや紫の装飾をたくさん目にするようになりますね。 ハロウィーンの飾りといえば、魔女やオバケなんかも有名ではありますが、一番に連想されるのはやはりカボチャではないでしょうか。
しかし、日本のカボチャといえば表面が緑色。これまで実物を見たこともなかった鮮やかなオレンジ色のカボチャが一躍有名になったハロウィーンですが、日本でハロウィーンが定着するキッカケを作った魔法使いは、東京ディズニーランドだと私は考えています。なので、ハロウィーンはずっと「アメリカの行事」だと思っていたのですが、実は「紀元前5世紀のアイルランド」が起源であると、ツアーガイド時代に知りました。
アイルランドの人々は、10月31日を〝亡くなった人の魂が幽霊となって帰ってくる日〟だと信じていました。この幽霊とは、日本のお盆のように、「家に帰ってくる優しいご先祖様」のようなイメージではなく、「悪さをする悪霊」です。
当時、夏の収穫を恵んでくれた太陽に感謝すると共に、この幽霊を追い払う儀式をと考え出されたのが 〝自分たちが魔女やオバケの格好をして取り付こうとする幽霊を怖がらせよう〟 というもの。 こうして始まったハロウィーンの風習は、19世紀中頃にアイルランドからやってきた移民たちによってアメリカにも伝えられました。
さて、カボチャの話に戻りましょう。
ハロウィーンのカボチャは、正式には〝ジャック・オ・ランタン〟と呼ばれます。直訳すると、提灯のジャックです。
この名称には様々な由来があるようですが、いちばん有名な説が「昔ジャックという大層ケチな男がおり、彼は死んだ後天国に行けず、また悪魔を騙したことで地獄へも行けず、明かりを灯したカブを持たされ暗い道をさまよい続けた」というお話を由来とするものです。
この悪魔をも騙せるジャックにあやかり、ジャック・オ・ランタンは悪霊を追い払うために家の前に飾られます。 昔のアイルランドではちゃんとカブを用いてジャック・オ・ランタンを作っていたそうですが、ハロウィーンの習慣がアメリカに渡ると、カブよりも手に入りやすいカボチャが使われることになり、現代に至る、というわけです。
ここまで知ると、なんだか不思議な親近感が湧いてきませんか。
そう、沖縄には石敢當もシーサーもスイジ貝もあります。これらすべてマジムン(魔物)を跳ね返すもの。
沖縄には、ディズニーが発祥の新しい魔法の……いえ、魔除けのハロウィーンが流行るずっと前から、しっかりと対策され根付いているようです。そう考えると、遠い国で生まれたハロウィーンという行事も、一緒に楽しんでみたくなりませんか。
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