
はじめまして──
小学生の頃、お友達が通っていた道場へ遊びに行ったことが私と琉球舞踊との出会いでした。
そのご縁で、真南風流真紀扇美佐の会に入門、宮城美佐子先生に師事。
気がつけば23年が経ち、 いつの間にか日々の呼吸のように琉球舞踊は私の一部となっています。
そんな中、ありがたいことに新たなご縁で今回初めて「沖縄芝居」に挑戦させていただくことになりました。
11月29日(土)に那覇文化芸術劇場なはーと小劇場にて公演される『それぞれの花風』にて、「薩摩役人泉」として現在、お稽古に励んでいるところです。
今回は、その沖縄芝居について、少しお話させていただきます。
大城立裕氏 生誕百年によせて──
皆さまは、沖縄を代表する作家・大城立裕 氏(1925〜2020年)をご存じでしょうか。
大城氏は、小説家として1967年『カクテル・パーティー』で沖縄初の芥川賞を受賞。
その後、88年には『世替りや世替りや』で第22回紀伊国屋演劇賞特別賞を受賞し、さらに舞台『嵐花』は文化庁の優秀舞台芸術公演に選出されるなど、県内外で高く評価され、多くの功績を残しました。
このたび、大城氏の生誕百年を記念し、幻の沖縄芝居『それぞれの花風』が1986年以来、約40年ぶりに再び上演されます。
本作は、「沖縄の宝塚」とも称され、戦後 沖縄の劇場屈指の人気を誇った乙姫劇団のために、大城氏が書き下ろした知る人ぞ知る名作。
今回は演出・脚本に具志幸大裕氏を迎え、若手女性キャストを中心に現代の感性で作品をよみがえらせ、新たな命を吹き込みます。
物語の舞台は『近世期の琉球王国』
薩摩藩役人の泉と首里王府の役人 屋部里之子との間で揺れ動く、辻遊郭のツルを取り巻く人間模様を描いた作品。
屋部が絵を得意とするチルーと薩摩でも名が知れるほどの絵の腕前を持つ泉とを引き合わせたことから、物語が展開していく。
チルーに思いを寄せる屋部、チルーの才能に惚れこむ泉、そして泉に憧れを抱くチルー、この三人の想いは最後どのような結末をむかえるのでしょうか。
おわりに──
時を超えて再び命が吹き込まれた『それぞれの花風』。
その舞台に大城氏が託した「沖縄への想い」がそっと浮かび上がります。それぞれの「想い」が交差する琉球王国の辻遊郭に咲いた恋と葛藤の物語。変わりゆく時代の中で、変わらないものがあるとすれば、それは人の情(なさけ)。そして、その心を照らす物語の力ではないでしょうか。
ぜひ、劇場でその一端を感じてみてください。

【それぞれの花風】
日 時:2025年11月29日(土)①13時 / ②17時 ※開場は30分前となります
会 場: 那覇文化芸術劇場 なはーと 小劇場
料 金: 一般 3,000円 / U-24(24歳以下)・障がい者・介助者 1,500円
チケット発売開始:9月26日(金)10時
【公演お問い合せ】
那覇文化芸術劇場なはーと ☎098-861-7810
【公式サイト】公式サイト
- Vol.01 幻の沖縄芝居、いま再び ― - 2025年11月1日