まぶしい太陽が照りつける海辺は、すっかり夏の装いだ。
やんばる東海岸は、海から切り立つ山々によって独特な景色が見られる場所である。
名護市天仁屋(てにや)海岸は、断層と褶曲(しゅうきょく)が露出してダイナミックな絶景を創り出している。
そこへは標高の高い集落からくねくねとした狭い道を下ってたどり着く。
海岸は、太平洋からの強風と荒波の風化によって岩山が砕(くだ)けて砂利状に積もっていて、そこをザックザックと音を立てながら移動すると、ジオ(地球や大地)を感じる奇異な景色が広がっている。
自然が創り出した海辺と、昔ながらの村の暮らしの営(いとなみ)の風景が、映画「カムイ外伝・相棒劇場版・涙そうそう」やテレビドラマ「ちむどんどん」などのロケ地として使われているようになってから、いつの間にか人知れぬ場所が話題のスポットになった。
私の友人は、中学3年生の自然体験学習で天仁屋海岸褶曲の景色に魅せられて、定年退職後近くの集落に移住して暮らしている。
近寄りがたい厳(いか)つい海岸には、若いサーファーが一人で波を探してたどり着いて満潮の時期を待っていた。
また、シーカヤックも見られた。
そんな海辺のひとコマに、それぞれの「夏物語」が刻み込まれているようだ。
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