年の終わりに近づくにつれ、やんばるの森はススキの穂が増えはじめ寂しげな景色が目につくようになる。が、花木の手入れが行き届いた花壇を見ると人気を感じてほっとする。
山間にある二見集落は、今はほとんど使われなくなった曲がりくねった旧道の坂道を下ったところにある。
そこは、戦時中に大勢の人が疎開先として避難をしていた村である。
終戦後(昭和20年11月)、照屋朝敏氏がお世話になった二見の村人に感謝の気持ちを込めて作られたのが沖縄民謡の代表作「二見情話(ふたみじょうわ)」である。
歌詞は、疎開時の過酷な地形に囲まれた二見で「戦場(いくさば)の哀(あわ)り何時(いち)が忘りゆら」の思いと、村人達へのご恩が「忘れられない花の二見」で締めくくられている。
二見では「二見情話大会(令和5年11月)」が開催され、老若男女(ろうにゃくなんにょ)の参加者が、衣装などに工夫を凝らした男女ペアで参加して審査が行われる。
日が傾くころ旧道に音楽が流れるように細工された県内唯一の「二見情話メロディーロード」の音色も哀愁をおびて年の瀬を迎える。
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