近年の異常気象が四季の変化にも大きな影響を与えている。
そのために亜熱帯性気候の沖縄においても、これまでの台風の進路が迷走して雨や風などの自然の状況も年毎に変ってきている。
本来は梅雨の時期に咲くイジュの花が秋風に吹かれてあちこちに咲き、ほかにも季節外れの花々が結構見られたりした年もあった。
そんな状況下でも新暦1月20日(旧暦12月1日)の「大寒」の頃になると、日本で一番早く咲くカンヒザクラ(寒緋桜)が例年見られる。
それは、沖縄で最も寒い季節の表現として使われる「ムーチービーサ」があるからだ。
「ムーチー」とは、新暦1月27日に、家内安全、とりわけ子供達の健康を祈る行事に使われる餅で、その頃の寒さの「ビーサ」と掛け合わせて呼ばれている。
そこで私個人としては、カンヒザクラは四季がはっきりしない沖縄の冬の終わりを告げる花ではないかと思っている。
色鮮やかなカンヒザクラの名所として知られる名護城(ナゴグスク)では「名護さくら祭り」が開催され大勢の花見客で賑わう。
でも、ハラハラと散る桜とは違って花曇の中でポトリ・ポトリと花ごと落花する様を見る時、どこか物悲しさを感じてしまう。
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