やんばるスケッチ
宜名真漁港のフーヌイユ日干しの風景

秋台風は強いと言われるが、続けざまの今年の台風は強烈だった。
お陰で、やんばるの森の木々は強風で傷つき枯れ木のようになった。

沖縄では秋めくと、夏に吹く南風が新北風「ミーニシ」へと変わる。

その季節の変わり目に、沖縄本島北部で活気づく漁港がある。

国頭村宜名真漁港では、フーヌイユ(別名:マンビカーやシーラと呼ばれる魚)が水揚げされて干物(ひもの)にする作業が住民総出で取り組まれ、普段は静かな港が賑やかになり熱気に満ちる。

十一月末頃には「フーヌイユまつり」が漁港で開催され、フーヌイユの餌となるイカ(ヒンガーイチャグワァー)を一夜干しにした商品も同時に売られ風物詩となっている。

どんよりとした空と冷たい秋風の吹く寂しげな風景の中で、つやのある葉としっかりとした茎に黄色い「ツワブキ」の花が咲く。

日当たりの良いところに鮮やかに咲くのでひと際目立っているが、花が咲き終えた後はタンポポの綿毛ようになって風によって森のいたるところに飛んで行き翌年また花を咲かせる。

その自然の営みと暮らしが、やんばるの元気な風景を支えている。年の瀬を迎え、今年も様々なことが風に吹かれて去っていく・・・


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高嶺 晃
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