春のぽかぽか陽気が崩れて、やんばるの森の尾根や里山に霧雨が降り始めると梅雨入りとなる。
村々では田畑のあぜ道の雑草を刈って、海や川に流す害虫払いの豊年祈願行事(アブシバレー)が行われ豊かな雨に感謝する。
鮮やかな色だった春の花々は散り、淡い色の花(アジサイやオクラレルカ)が終わりかけると、白っぽい花(イジュやコンロンカ等)が咲き始める。
「イジュ」は黄色い雄しべと白い花弁の花で、ほのかな香りも放ち貴賓さえ感じられる。
「コンロンカ」は黄色い星型の花と白い葉を広げて可憐にやんばるの森のいたるところで咲きだし、沖縄では梅雨を告げる代表的な花として森の到る所で出会うことができる。
そして、若夏の風がそよぎ各地で海神祭のハーリー等が開催されると、海辺は村人達の声援や太鼓に鐘の音もにぎやかに鳴り響き、本格的な海のシーズンとなる。
琉球王府時代から伝わる「帆(フー)かけサバニ」も愛好家らによって、各地の海を舞台に競漕なども見られるようになる。
初夏のさわやかな風に一息つくと、いよいよ酷暑の夏だ。
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