やんばるスケッチ
塩屋湾(大宜見村)と本部半島に沈む夕日

強い日差しが和らぎ、心なしか積乱雲の力強さも衰えてスジ雲やウロコ雲のような柔らかな雲が漂う季節になった。

「今はもう秋、誰もいない海・・・」という歌詞があったが、夏場賑わたっていた海辺の人影はまばらになって、ビーチパラソルも見当たらなくなっていた。
そんな、一息ついた季節の変わり目に吹くヒンヤリとした風が夏の終わりを告げている。

沖縄本島西海岸にある大宜味村塩屋湾の海辺では、サンゴ礁で出来たビーチロック「板干瀬(いたびし)」や小島(宮城島)によって外海の荒波が砕かれて、浜辺は小波(さざなみ)の音が響いていた。

また、海から繋がる湖のように穏やか塩屋湾は、周遊道路や集落があり、落ち着いた暮らし向きの風景に出合った。

そこから、山手に行くと大保ダムがあり、ススキの穂が揺れる殺風景な原野が広がっていた。

が、そこに沖縄に自生する淡いピンクの「フヨウ」の花が一輪鮮やかに咲いていたのが実に印象的だった。

頂上付近にたどり着くと、塩屋湾や本部半島が一望に見渡せる場所から、秋の夕暮がパノラマのように広がっていた。

日が沈むと、尾根を照らすお月様が秋の夜長を楽しませてくれた。


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高嶺 晃
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