四季がわかりにくいと言われている沖縄で「冬と春」の季節の変わり目の頃は、どちらかと言えばわかりやすいと思う。
年明けの1月から2月にかけて、沖縄では真冬のような一番の寒さが訪れる。
この時季には、冬の花で知られる「サザンカ」、沖縄で自生する真っ赤な「ヤブツバキ(藪椿)」や、日本で一番早い桜といわれる「カンヒザクラ(寒緋桜)」の蕾(つぼみ)が芽吹く。
そして、気温の寒暖の繰り返しによって花が開花し「寒い冬」と「暖かい春」の兆しを同時に感じ取る風景に出会える。
そして、花曇(はなぐもり)の日に、強い風や雨によって椿や桜は花首からポトリと潔く落花していく。
その様に、どこか物寂しさや儚(はかな)さを感じたりする。
一方、早春の朝日は暗い紺色の水平線から、空を淡いピンクやオレンジ色に染めながら、さわやかな空気に包まれてゆっくりと昇ってくる。
が、ふと気がつくと、朝日はいつの間にか天上に鮮やかに輝いていた。
春は、海や空からもやって来るのだと告げているように思えた。
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