
しめった暖かい南風が吹き始め、空模様がおかしくなってくると入梅だ。
すると、やんばるの景色が淡い無彩色に包まれる日々が多くなって、民家の庭先などにひときわ存在感のあるアジサイがぽつぽつと咲きはじめる。
名護市街地から少し離れ、国道58号から1キロほど入ったところの花園には、風物詩であるアジサイが群れて咲き誇っているのを見ることができる。
小雨にけむる園内では、色鮮やかに咲くアジサイと、傘をさして楽しむ人影が雨の風景に溶け込んでしっとりとした雰囲気に包みこまれていた。
アジサイは淡い緑色から咲き始めて、やがて青くなったりピンク色になったりと、時と共に色の変化も楽しめることから「七変化(しちへんげ)」と呼ばれたり、「移り気」などの花言葉もある。
細長い園路を歩いていると小高い丘の上に展望台があった。そこから、かすんで見える羽地内海の島々を通り過ぎていく小ぬか雨が、墨絵のような落ち着きのある情景を醸(かも)し出していた。
日常生活の暮らしの中では、長雨がつづく梅雨の時期は鬱陶(うっとう)しさばかりが強調されるようだが、やんばるの農家では米や野菜などの農作物にとって恵みの雨でもある。
しとしと降る雨が日ごとに上がっていくと、強い日差しの夏がやってくる・・・。
Latest posts by 高嶺 晃 (see all)
- Vol.49 雨に濡れて咲く「アジサイ(紫陽花)」 - 2025年5月1日
- Vol.48 やんばるのレトロな建物 - 2025年3月1日
- Vol.47 季節の変わり目の花々 - 2025年1月1日