春先の花々の開花時季から、突然新型コロナウイルス騒ぎで人々の日常が奪われ、自然の花々等と暮らしの営みにも距離が生じた。
やんばるの森には訪れる人も少なくなって、暮らしの風景もひっそりとして静まり返っているようにも見えた。
ひっそりとした佇まいの集落といえば、首里からの落武者が住みついたと言われる安波集落(国頭村)も静けさに包まれていた。
安波集落はすべての民家が、段々畑のような北向きの斜面地に建っている。
道や塀は石積みで屋根は茅葺の独特な風景だったが、今は、赤瓦やセメント瓦造り等に変わった。琉球古典音楽などを学ぶ人達が、最初に出会う伝統的な曲「安波節」は、この村で生まれた。
真夏日の昼下がり、静寂な集落を囲む森や林のいたる所から「ヤンバルクイナの鳴き声」が元気に響き渡っていた。
また、石積みの塀を這(は)うようにして鮮やかな橙色で咲き乱れていた「ノウゼンカズラ」は、村の石造りの風景のコントラストになっていた。
そして、縁側に腰かけて庭先の花々を見つめて、時を過ごしているおじいさんの姿に、変わらぬ日常の暮らしの光景にホットした。
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