やんばるスケッチ

コロナ禍(か)の年がやっと終わろうとしているが、新型コロナが終息した訳ではない。それによって、「新たな日常」という言葉が巷にあふれて皆(みんな)戸惑った年の瀬を迎えることになった。
ところで、沖縄本島最北端にある国頭村奥集落は古くから陸の孤島のような環境で暮らしが営まれてきた。そのため人や物資の主な移動手段は、「やんばる船」を利用して海路で繋がる日常であった。

そんな不便な地域でのコミュニティーを支えたのが、住民の出資や運営による県内で最も古いと言われる「共同売店」である。さらに、特産である「お茶の収益」や「売店の売り上げ」なども財源の一部として活用され、困った時の掛売りなどにも利用されている。

そこには、時代は変われども「変わらぬ日常の穏やかな暮らしの風景」が残り続けていた。 便利になった陸路からたどり着く道沿いは、もうすっかりススキに覆われて殺伐とした冬景色になっていた。が、集落に近づくにつれ黄色い花を咲かせた「コバノセンナ」の花が見られるなど、人と自然の営みが感じられホッとした。

今年を振り返り一文字で表す「今年の漢字」は、やはり「禍(わざわい)」かな、でも「転じて福となす」新年を迎えたいものである。


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高嶺 晃
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