
琉球王朝時代から芭蕉布の産地で知られる大宜味村喜如嘉は、海の傍(そば)で山に囲まれた地形の所にある。
古くから水田を利用して米やイグサ等で暮らしの生業(なりわい)としていたが、今は生け花に使われるオクラレルカに変わり、花の季節になると観光スポットになっている。
しかし、人口減少(2021年3月1日:392人)で喜如嘉小学校は、5年前(2016年3月)に127年の歴史に幕を閉じた。
まだ小学校があった梅雨の時期、薄紫色のオクラレルカの花が満開に咲く風景の中を下校時に流れる「夕焼け小焼け」の音楽が周囲の山々に響きわたっていた。
小雨の降る田んぼのあぜ道を、オクラレルカの花をバックに傘をさした子供達が急ぎ足で家に帰る、のどかな光景が印象的に残っている。
この時季、いつもは人気のない水田が、花の見頃になると、大勢の人達が訪れるあぜ道は、所狭しと活気に満ちる。
水田にポツンポツンと植えられた芭蕉が、雨に濡れた大きな葉に大きな花を咲かせていた。
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