ディズニーの魔法の成分

沖縄はすっかり初夏の様相ですが、東京ディズニーリゾートはやっと春らしく過ごしやすい季節になってきました。夏は非常に暑く、冬は雪が降るほど寒いパークで、最も過ごしやすい時期だと言えるのではないでしょうか。

雨が降っていない日は、暖かい日差しを浴びながらパーク内をのんびり歩いて回るのがオススメです。ポップコーンやターキーレッグなどのワゴンフードを食べ歩いたり、溢れかえる笑い声やディズニーミュージックに耳を傾けながらベンチでゆったり過ごしたり。

例えば、 「じゃあ飲み物でも買って、のんびりしようか」 というときに、目の前に自動販売機があったら。さて、どうお感じになるでしょうか。

ごくありふれた当たり前すぎる光景に、特に何も思わないし、何も感じないことが大半かと思います。良くて、 「近くに自販機がある、ラッキー!」 くらいでしょうね。

実はこの自動販売機、東京ディズニーランドの開園当初から設置されているものではなく、2008年に新たに導入されたものでした。

初めて導入されたときの多くのゲストのリアクションは、なんと意外にも

「なんで自販機なの?」 「入れちゃったらマズいんじゃないの!?」 という、少々ネガティブなものだったのです。

というのも、ディズニーテーマパークの行動基準の一つに、 【ディズニーが提供するものはすべてショーである】 というものがあり、自動販売機のように人の手を介さない商品提供はショーにならないので、本来あってはならないものです。

それでも自動販売機設置に踏み切ったのは、ショーよりも大切にされている【ゲストにとっての安全を最優先する】という行動基準に基づいた判断だったと言えます。

飲み物が買えず熱中症になってダウンしてしまっては、ゲストの大切な思い出が台無しになります。ハピネスのために優先すべきはショーよりも安全です。

本来は便利になるだけのはずの自動販売機設置から、様々なストーリーが生まれる凄さもさることながら、特に驚くべきポイントは、ショーの重要性について遊びに来るゲスト側が危惧するほど、ディズニーの世界観は浸透しているというところにあります。

単純に便利なものだけを追い求めていては、心に響く魔法の成分を見逃してしまうかもしれません。ゆったりベンチに腰を掛けられたときには、そんなことを思い出したいものですね。


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川崎 真衣
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