ディズニーの魔法の成分

東京ディズニーシーに停泊している立派な船と、その隣に建つ、絶叫がこだまするアトラクションとの間にある、切っても切れない意外な関係のお話をご紹介。

東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントには、パークの中でも屈指のフォトスポットである 「S・S・コロンビア号」 が停泊しており、遊びに行ったことのある方も、そうでない方も、この赤い煙突の船を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

この豪華客船を所有しているのは、船会社U・S・スチームシップカンパニーのオーナーである 「コーネリアス・エンディコット三世」 です。

そして、今回のお話に欠かせないもう一人の重要人物が、 「ハリソン・ハイタワー三世」 。
彼はアメリカンウォーターフロントの景色を作る巨大アトラクション、 「タワー・オブ・テラー」 の舞台となっているホテルハイタワーの創立者であり探検家、熱狂的な文化遺産コレクターです。

先に紹介したコーネリアス・エンディコット三世とハリソン・ハイタワー三世、この二人が因縁のライバル関係だということをご存知でしょうか。

ライバルと言っても、正々堂々としたお互いの存在を認め合うような関係ならば良いのですが、彼らの場合は親の代から仲が悪く、それが必然的に子どもたちにも受け継がれる形での対立構図。
彼らは学生時代から冷酷ないたずらや不正をして互いの足を引っ張り合うようなライバルだったのです。

しかし長く続いたその関係も、ハリソン・ハイタワー三世の謎の失踪事件により終止符が打たれることとなりました。 彼がいなくなったことをひっそりと悲しんでいたのは、コーネリアス・エンディコット三世…ではなく、その娘ベアトリス。

彼女は冒険家としてのハイタワーに憧れを抱いたため、彼がいなくなった後ホテルハイタワーの買収を父に提案します。
そこでコーネリアスはホテルを残したい娘に内緒で、ホテルハイタワーの跡地に 〝エンディコットグランドホテル〟 の建設計画を密かに進めてしまいます。

これを知った娘は大激怒! そこで彼女はニューヨーク市保存協会を設立、会長に就任し、歴史的建造物であるホテルハイタワーをガッチリと保護。
ホテルハイタワーとそこに秘蔵されるハリソン・ハイタワー三世が集めたコレクションを見学できる 「ホテルハイタワーミステリーツアー」 を開き、これが現在の 「タワー・オブ・テラー」 というアトラクションになっているというわけです。

すべてディズニーの魔法の成分により成り立っているのに、本当にそんな歴史があったのかと錯覚してしまう程に作り込まれたストーリー。
ちなみに、ニューヨーク市保存協会のオフィスも、アメリカンウォーターフロントの街並みの中にちゃんと存在しています。

豪華客船や高層ホテルもいいですが、今度はマニアックなフォトスポットで一枚、いかがですか。


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川崎 真衣
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