日差しの強い真夏日に、木漏れ日がさす神聖な拝所がやんばる各地の集落の至る所で見られる風景がある。
そこは、集落の起源との深い関係がある「御嶽(うたき)」や「神アシャギ」で、ノロによる拝み所としての聖域となっている。
その場所には、クバの樹林やガジュマルなどの大木が生い茂り近寄りがたい雰囲気がある。
一方で、村祭りなどの年中行事で里帰りの親戚縁者と居住者の交流の場としての重要な役割も果たしている。
普段は足を踏み入れることが少ない「御嶽」とは違い、「神アシャギ」の方は広場や公民館などに近接して、年中行事で大勢の人が集まりやすい集落の中央部に位置しているのが一般的である。
天仁屋集落(名護市)の拝所にも、樹齢を感じさせる大木が生い茂り厳か(おごそか)な雰囲気に包まれている。
敷地内には「神アシャギ」や「御嶽」「鳥居」が同居し、大木からの木漏れ日によって神々(こうごう)しさと安らぎを感じさせる空間が創りだされている。
しかし、近年は少子高齢化による人口減少や、ウガンを司るノロが亡くなり豊年祭や8月の盆踊りの開催も危ぶまれる状況下にある。
木漏れ日のさす拝所は変わらぬ景色だが、どこか寂しさもつのる。
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