やんばるスケッチ

昼下がりのプールサイドで
沖縄での少し早い海開きは、水の冷たさや波の荒さで、海水浴を楽しむ人は少なかったが、夏日になると海辺は賑わいを取り戻した。

名護市東海岸の汀間(てぃーま)と安部の境にリゾートホテルのビーチがある。

そこには、琉球王朝時代の歌と踊りの代表作「汀間当(てぃーまとぅ)」が生まれた「川の下(カーヌシチャ)の浜辺」がある。

物語は、汀間の丸目加那と首里の役人との間に恋が芽生えた場所である。二人の関係を知った村の青年達がスキャンダル(嫉妬と噂)として歌にのせて囃(はや)し立て、恋が破れたという内容である。

その浜辺にあるリゾートホテルの命名が、「川の下(カーヌシチャ)」から取って「カヌチャ」と名付けられた。
ビーチサイドの昼下がり、バーカウンターでグラスを片手に海をぼーっと眺めながら時を過ごしている若者の姿があった。

それは、「夏をあきらめて(歌詞:桑田佳祐)」の曲が似合う風景だ。
「♪~波音が響けば雨雲が近づく 二人で思いきり遊ぶはずのオンザビーチ きっと誰かが恋に破れ 噂のタネに邪魔をする・・・」

思わず歴史の風景が、タイムスリップした夏の日のひとコマだった。


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高嶺 晃