やんばるスケッチ

アジサイの花が咲く頃は、やんばるの森に梅雨がやって来る。

その時季しとしとと降る雨が突然上がって、5月晴れになったりすることがある。
すると深緑に包まれた森の色と、鮮やかに咲く花々の色のコントラストによって清々しい気分になる。

東村有銘川付近に行くと、ハワイから来た知人の戦時中の疎開先を一緒に探し回った思い出が蘇ってくる。

雨上がりの東村有銘川の上流には、川の流れを調整する堰(せき)があり、約600メートル先の有銘湾に注(そそ)いでいる。

川沿いの道には、まばらに建つ民家があり、さらに細い道を進んだ先にある堰(せき)の近くにポツンとある食堂と民宿にたどり着いた。

そこが、76年前、10歳の5月~9月の間過ごした知人の疎開先であった。

食堂の主も、その頃の事を伝え聞いていたので話
が弾み、知人は感慨深げに当時の事を語り合いながら時を過ごした。

やさしい木漏れ日、水の音、そして色とりどりの花々が咲き、夜には蛍(ほたる)も見られるという。
そこは、今も自然のやさしい里山の風景に包まれている。
いみじくも、この時期は「終戦記念日」や「慰霊の日」の平和を祈る日々が続く月でもある。
川沿いには真っ赤なシマヒギリ「花言葉:幸せになりなさい」がいっぱい咲いていた。


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高嶺 晃
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