Vol.31 磯のかおり漂う浜辺で
春先から初夏にかけての季節の移ろいは変化にとんでいる。やんばるの山々が、「枯葉色」から「新緑」そして「深緑」へとアッと言う間に変わると、山の尾根や里山が深い霧雨に包まれて梅雨の時期がやってくる。 その潤いの雨によってやん…
iroiro沖縄編集部
春先から初夏にかけての季節の移ろいは変化にとんでいる。やんばるの山々が、「枯葉色」から「新緑」そして「深緑」へとアッと言う間に変わると、山の尾根や里山が深い霧雨に包まれて梅雨の時期がやってくる。 その潤いの雨によってやん…
春風に吹かれて「春は名のみの風の寒さや・・・(早春賦:そうしゅんふ)」馴染みの抒情歌だ。沖縄では桜やヤブツバキが咲き終わる頃、厳しい寒さが断続的にやって来る。すると突然「ワカリビーサ(寒の戻り)」の後に、強い季節風「ニン…
大寒(新暦:1月20日)を前後して「やんばる」は、寒い日がつづき各地で寒緋桜の芽吹きと開花の時季を迎える。 温暖化や気候変動のせいか、季節はずれの寒緋桜が去年の9月に大川(名護市)で咲いていたが、実に興(きょう)ざめだっ…
一年で一番忙しい年末のことを「師走(旧暦12月の異称)」と呼んでいる。が、コロナ禍での自粛ムードによって、人々の行動様式が大きく変化した。そのため、時候の挨拶も虚しく伝わってくる。 世界遺産登録(2021年)に沸く「やん…
心地よい風を感じながら山間の道を大浦川沿いに下ると、タマスダレ(彼岸花科)がぽつぽつと咲き、マングローブ林が見えてきた。 かつて、大浦川沿いに道がない頃、対岸に渡るには海岸沿いの岩や浜の伝え歩きや、渡し船を利用したと記録…
うだるような夏日が続くやんばるの山々は、モコモコとした感じの「イタジイの木」で深緑に包み込まれ、涼しげな葉柄の「ヘゴ」が加わることで、優しいやんばるの山の風景が広がる。 しかし、夜が更けると真っ暗な山の尾根を境に、藍色の…
琉球王朝時代から芭蕉布の産地で知られる大宜味村喜如嘉は、海の傍(そば)で山に囲まれた地形の所にある。 古くから水田を利用して米やイグサ等で暮らしの生業(なりわい)としていたが、今は生け花に使われるオクラレルカに変わり、花…
さわやか春風が吹き、やんばるの山々が若葉色に萌える頃、私達のまわりではイロイロな別れと出会いがある季節でもある。 旧名護市嘉陽小学校が99年の歴史に幕を閉じたのは、もう11年も前の事だ。今は「美ら島自然学校」として海がめ…
自粛ムードの中で年が明けたが、年の始めとしては気持ちがどこか晴れやかでないまま、巣篭もり(春の季語)の時季となった。 それでも自然の営みは変わらずに野や山や海で春の訪れをしっかりと告げているように感じた。 花曇の轟の滝(…
コロナ禍(か)の年がやっと終わろうとしているが、新型コロナが終息した訳ではない。それによって、「新たな日常」という言葉が巷にあふれて皆(みんな)戸惑った年の瀬を迎えることになった。 ところで、沖縄本島最北端にある国頭村奥…
喜如嘉(大宜味村)の七滝 南風が北風に変わる頃に吹く風のことを、沖縄では新北風(ミーニシ)と呼ばれ夏の終わりを告げる季節風である。 今年は春先から新型コロナ騒ぎで、あっと言う間に夏も過ぎて秋を迎えることとなった。そのため…
北向き斜面地の集落(国頭村・安波) 春先の花々の開花時季から、突然新型コロナウイルス騒ぎで人々の日常が奪われ、自然の花々等と暮らしの営みにも距離が生じた。 やんばるの森には訪れる人も少なくなって、暮らしの風景もひっそりと…
潮干狩りを楽しむ人たち(名護市・屋我地島) さわやかな風が吹き、過ごしやすい時期(2月から5月頃)を沖縄の方言で「うりずん」の季節と呼んでいる。 やんばるでは、その時期の終わり頃になると、山の尾根に霧のような雲がかかり麓…
名護市東海岸の「五若森(いつわかむい)」 ヒカンザクラが葉桜になり、やんばるの森がゆっくりと新緑に包まれる頃になると、肌寒かった北風も暖かい南風へと変わっていく。 鮮やかだった黄色い花の「ツワブキ」も枯れて、葉影から「野…
カヌチャリゾートからの大浦湾の朝日 四季がわかりにくいと言われている沖縄で「冬と春」の季節の変わり目の頃は、どちらかと言えばわかりやすいと思う。 年明けの1月から2月にかけて、沖縄では真冬のような一番の寒さが訪れる。 こ…
「高江校発祥之地」から太平洋の朝日が見える 沖縄本島北部にある「東村」は、大正十二年(1923年)に旧久志村から分離され「日の出るところ東なり」いう所から名付けられたそうだ。 東村の高台(海抜90メートル)にある高江区は…
塩屋湾(大宜見村)と本部半島に沈む夕日 強い日差しが和らぎ、心なしか積乱雲の力強さも衰えてスジ雲やウロコ雲のような柔らかな雲が漂う季節になった。 「今はもう秋、誰もいない海・・・」という歌詞があったが、夏場賑わたっていた…
慶佐次集落(東村)から天仁屋岬を望む 岬(天仁屋﨑)の岩礁に打ちつける波しぶきの様子で、沖の方から陸に吹く風の強さが伝わってくる。 そして、寄せては返し砕け散る波の光景を見ていると、自然の営みと時の流れを感じて心が和む。…
ふーかきさばに(帆(フー)かけサバニ競漕)(名護市) 春のぽかぽか陽気が崩れて、やんばるの森の尾根や里山に霧雨が降り始めると梅雨入りとなる。 村々では田畑のあぜ道の雑草を刈って、海や川に流す害虫払いの豊年祈願行事(アブシ…
菜の花とバラやダリアが咲く花園 余寒の残る中、三月(旧暦2月)には嵐のような強い風が吹く。 一般的にそれを春一番と呼んでいる。 沖縄では「ニンガチカジマーイ(二月風廻り)」と呼び、その風を境いに冷たい冬の北風から暖かな南…
満開のヤブツバキと散った花 年が明けると沖縄では、日本で一番早い「寒緋桜」や「サザンカ」などが咲きだし、やんばるの森は春の兆しで彩られる。 それらの花が咲き終わる頃、つやつやとし深い緑葉に、蕾(つぼみ)のような真っ赤な「…
宜名真漁港のフーヌイユ日干しの風景 秋台風は強いと言われるが、続けざまの今年の台風は強烈だった。 お陰で、やんばるの森の木々は強風で傷つき枯れ木のようになった。 沖縄では秋めくと、夏に吹く南風が新北風「ミーニシ」へと変わ…
辺戸岬から望む辺戸岳 今年の夏は、全国各地で猛暑が続き災害なども多かった。 暑さをしのぐために沖縄の野外では木陰や庇(ひさし)や、風が通るところが涼しく快適な場所として利用されている。 島の岬などは木陰が少なく植物の生息…
名護市汀間のフクギ群落 夏の沖縄の海辺は、透きとおるような青い海と白い砂浜のコントラストによって鮮明な風景が印象的だ。 そして、海辺沿いに防風林を兼ねた樹林が水辺のやさしい風景をつくり出している。 やんばるの東海岸沿いに…
民家の庭に咲くアジサイの花 やんばるの森が若葉色から深緑に変わる頃、森の天気は変わりやすくなり梅雨の季節を迎える。 花々などは濃いピンクの「寒緋桜」、真っ赤な「椿やツツジ」などの色鮮やかな花々は散り、黄金色の実を付けた「…
東村つつじ祭り(村民の森) 例年になく、日本列島は異常に寒い冬だった。 沖縄でも場所によってはアラレが降ったり、冷たい北風が容赦なく吹いたが、雨の日が少なかった勢か寒緋桜の花見が長くできた。 冬の寒さが通り過ぎると、北風…
名護城(ナングスク)のカンヒザクラ並木 近年の異常気象が四季の変化にも大きな影響を与えている。 そのために亜熱帯性気候の沖縄においても、これまでの台風の進路が迷走して雨や風などの自然の状況も年毎に変ってきている。 本来は…
緑や花々を楽しめる・やんばるのサイクリング 彼岸が明けると、夏に南から吹いていた風の向きが北へと変わる。 心なしか、やんばるの森で自生している「イタジイ」や「へゴ」の木陰がつくる強い日差しも、和らいで見える。 この時期に…
塩屋湾に灯るキャンドル 大宜味村は約8割近くが山林で、林業と少ない平地と段々畑で農業などを生業(なりわい)としている。近年埋め立てによって企業立地や学校の公共施設建設等で新たな村づくりが進められている。 東シナ海に細長く…
イジュ(伊集)/リュウキュウアサガオ 若葉色の森が深緑へと変わる頃、やんばるの天候は不安定になり、くもりや雨の日が続く季節となる。 この時期には、沖縄本島で最高峰といわれる国頭村・与那岳(標高503メートル)から南北に連…
ハゴロモ(羽衣)ジャスミン 沖縄では、冬から春にかけて吹く風が、天候を急変させ大荒れの天気になる事がある。それをニンガチ・カジマーイ(2月風廻り「旧暦2月・新暦3月頃」)と呼んでいる。 その風は「春分の日」を迎えて春風と…